聖書を読む 「マカバイ記」

※私はミッションスクール出身ですが洗礼を受けていません(信徒でない)、 あくまで文学・歴史書として読んだ場合の個人的な感想です。基本的に信徒以外の方に向けて書いております。


ハスモン朝の成立


紀元前586年にバビロニアのネブカドネザルによって滅ぼされた事に始まる「バビロン捕囚」は有名ですが、実はその後にユダヤ人の国家が一時的に復活した事はあまり知られていない様に感じます。

紀元前167年頃のパレスチナはアレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)の東方遠征の結果誕生したマケドニア人の王朝であるセレウコス朝に支配されていました。そこで、ハスモン家が中心になって「マカバイ戦争」と呼ばれる独立運動が発生します。その結果、セレウコス朝の軍隊がエルサレムから撤退し、紀元前142年頃にハスモン朝が成立します。

この独立は啓典の民の価値観では「神が与えて下さった勝利」と解釈され、ハスモン朝の成立に関わる一連の歴史書が聖書に収められる事になります。その文章が即ち「七十人訳聖書」に収められている「マカバイ記」なのです。



モーセ五書とレビ族


ハスモン家を輩出したレビ族は「モーセ」や「アロン」の出身部族であり、アブラハムに連なる部族の中でも祭司や大祭司の役職を与えられる特別な部族です。古代イスラエル王国の誕生までイスラエルの民達を指導する存在であり、言い換えれば最も権力を持っていた部族でした。

モーセ五書」の中で「モーセ」は数々の奇跡を起こすなど大活躍をする事で有名ですが、実は「アロン」も「モーセ」に勝るとも劣らない人物として書かれています。大祭司はアロンの子孫から選出される事になっていますので、アロンを素晴らしく書くことで大祭司の箔をつける目的があったのかもしれません。
出エジプト記 7:1(口語訳)
主はモーセに言われた、「見よ、わたしはあなたをパロに対して神のごときものとする。あなたの兄弟アロンはあなたの預言者となるであろう。 
出エジプト記 7:11-12(口語訳)
11そこでパロもまた知者と魔法使を召し寄せた。これらのエジプトの魔術師らもまた、その秘術をもって同じように行った。 12すなわち彼らは、おのおのそのつえを投げたが、それらはへびになった。しかし、アロンのつえは彼らのつえを、のみつくした。




外典となったマカバイ記


ユダヤ人悲願の独立国家を作った者達の英雄譚であるはずの「マカバイ記」ですが、不思議な事に紀元90年頃にファリサイ派を中心に実施された「ヤムニア会議」において正典から除外されてしまいます。

「ヘブライ語写本を持たない」という事がその理由ですが、この判断によりそれまで200年間程の間、神の勝利だと信じてられて来たハスモン朝の成立やそれに伴う英雄達の行動が、それ以降は神の意志ではなかった事になってしまいます。

我々異邦人にとってはマカバイ記はハスモン朝を権威づける為の文章と捉えるの事はそれほどおかしな事ではないと思いますが、それまでマカバイ記を信じてきた信徒の人々はどう感じたのでしょうか。人が編纂している以上「聖書」であっても絶対ではないと納得したのでしょうか。




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