聖書を読む 「七十人訳聖書」

※私はミッションスクール出身ですが洗礼を受けていません(信徒でない)、 あくまで文学・歴史書として読んだ場合の個人的な感想です。基本的に信徒以外の方に向けて書いております。


ギリシア語の聖書


イエスが活躍した時代は、アレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)の東方遠征により、古代ギリシア文明と古代オリエント文明が融合したヘレニズムが出現して既に300年以上が経過しており、パレスチナでもギリシャやイラン等世界中の素晴らしい文明に触れる事が出来る様になっていました。

当然パレスチナでもヘレニズムは多くの人達に影響を与えており、ユダヤ教イエス派の人達の多くは「七十人訳聖書(Septuaginta)」と呼ばれる「ギリシア語」に翻訳した聖書を読んでいたと推測されています。有名どころでは、キリスト教の成立に多大な影響を与えた「パウロ」も書簡に「七十人訳聖書」を引用しています。

キリスト教では「七十人訳聖書」を現存する最古の旧約聖書という扱いにしていますので、基本的には現在信徒さん達が信仰している「旧約聖書」とほぼ同じ物と考えても差し支えないと思います。


七十人訳聖書とユダヤ教


聖書には「外典(Apocrypha)」と呼ばれる文書群が存在しますが、ユダヤ教の「外典」はファリサイ派が主導したヤムニア会議でヘブライ語聖書に納める文書の見直しを行った際、除外された文書の事をいいます。

そして前述した「七十人訳聖書」は、ヘブライ語写本を持たないという理由で「正典(Canon)」から外されてしまいます。

ややこしいですが「七十人訳聖書」が外典に指定されたとはいえ、「七十人訳聖書」に納められている文書の多くはヘブライ語の写本を持つ他の聖書と同じです(モーセ五書など)。結果的には「七十人訳聖書」の内「シラ書」や「マカバイ記」などの、ヘブライ語写本を持たない文書が外典の扱いとなったと考えた方が解りやすいかもしれません。



七十人訳聖書とキリスト教


注意が必要なのはイエスの時代にはすでに「七十人訳聖書」は完成しており、多くのユダヤ人達の信仰の対象になっていた事です。つまり「イエス派が自分達の都合で付け足した文書を取り除いた」という訳ではありませんし、ユダヤ人達自身も信仰していた文書をヤムニア会議によって紀元90年以降に正典から取り除いた事になるのです。

ヤムニア会議の頃にはイエス派は一大勢力へと成長しつつあり、彼らの拠り所であった「七十人訳聖書」の価値を下げる事を、ヘレニズムを敵視するファリサイ派のラビ達が意識しなかったとは言い難いでしょう。

「外典」と聞くと「正典でない為、価値がない」という印象を受けてしまいますが、こういった経緯を考えると、実は聖書を読む上で重要な文書群なのです。



スポンサーサイト



プロフィール

おぼさりてい

おぼさりてい
歴史・経済に興味有り

広告

全記事表示リンク

検索フォーム